晦−つきこもり
>七話目(前田和子)
>B12

私は、開かずの間へと進んだ。
……そこには、誰もいなかった。
和子おばさんと、良夫の死体が寝かされている。
みんな、どうしたんだろう。
「葉子ちゃん……」
急に声をかけられ、ヒヤリとした。
正美おばさんだわ。

「あの、みんなはどうしたんですか?」
「……葉子ちゃん、さっき、見たでしょう」
正美おばさんは、私の質問には答えず、そんなことをいいだした。

「えっ、何のことですか?」
「良夫くんを、石段からつき落としたのが誰か、見たんでしょう?
あの時、懐中電灯で照らしていたじゃありませんか」
「えっ……」
その時、ふすまが開き、哲夫おじさんが入ってきた。

「由香里ちゃんと和弘さんが戻ったよ。今、玄関のところにいる。
すぐこっちに来るぞ」
正美おばさんは、表情をわずかに曇らせた。
「葉子ちゃん、
石段のところで由香里ちゃんと和弘さんに会いました?」
1.会ってない
2.どうして?