晦−つきこもり
>七話目(山崎哲夫)
>C6

よーし!
今度は、もっと声を張り上げて叫んでみよう。
大きく、深ーく息を吸ってーーーっ!
せーーーーーのっ!!
「みんなーーー!! 起ーーーきーーーてーーーっ!!」
ううっ、頭の中がキーーーーーンとする。

自分の声なのに……。
でも、これならバッチリよね。
みんなだって…………。
あっ……。
襖の開く音がするわ。
みんな起きてきてくれたんだ、よかった……。

「今の声は、
葉子ちゃんかい!?」
やっぱり、一番に駆け付けてくれたのは泰明さんだわ。
「何かあったの? フワァーア……」
あくびしながら、現れたのは和子おばさん。

「何だよ、どっこも変なことなんかねーぞ!
さては、葉子ネエ、一人でトイレに行くのが怖いんだろ!」
ムッ、良夫ったら何てこというのよ。

「本当なのかい?
葉子ちゃん?」
「えっ? ち、違います! 私は、ただ……」
「ただ……?」

どうしよう?
みんなの気配がなくって不安だった……なんていったら、また良夫に笑われちゃう。
1.本当のことをいう
2.適当にごまかす