学校であった怖い話
>一話目(新堂誠)
>S2
ないのか?
お前、勇気ないな。
うちの学校の生徒だったら、一度はあそこに行かなきゃだめだ。
あそこには霊がうようよいるんだぜ。
肝試しにはもってこいだからな。
よし、今度、俺が連れていってやろう。
特に旧校舎の二階の長い廊下を抜けたとこにある、三階へと続く階段。
あそこは温度が低いのか、夏だってひんやりしていて、まるで冷蔵庫にいるみたいなんだ。
それにあそこは日が差さないから昼間でも暗いし、人がいるなんてわからないから、授業をさぼるには絶好の場所だぜ。
冬は寒すぎるけどな。
で、その階段の踊り場に大きな鏡があるんだよな。
姿見っていう奴だ。
全身の映る、縦長の一枚鏡。
あの鏡、変な噂があるんだよ。
もちろん俺は信じちゃいないさ。
いや、信じていなかったって言うのが正解だろうな。
あのことが起きるまではさ。
その鏡の話をしてやるよ。
……だいぶ前、俺たちの間で、その鏡のことがちょっと話題になったことがある。
あの鏡の前を通ると、変なものが見えるとか、自分の姿が映らないとか、いろんな噂が立ったんだ。
けど、俺は信じなかったぜ。
クラスの連中がそんな話をしていても、仲間に入らなかったしな。
それがさ、ある日、吉岡の野郎が俺に相談があるっていいにきたんだ。
吉岡ってのは、いつも孤立していて、一人でいる暗い奴なんだ。
つき合いは、なかったな。
目立たないし、あいつが何をしているかなんて、別に興味もなかった。
いるのかいないのか、存在の薄い奴だったな。
その吉岡が、俺に相談があるっていうんだぜ。
たぶん、あいつが話しかけてくるなんて、初めてのことじゃなかったかな。
別に、俺も断る理由はなかったし、わざわざ相談を持ちかけられちゃ、聞いてやらないわけにはいかないよな。
それで、相談に乗ってやったんだ。
あいつは、最初はもじもじしていたけれど、そのうち言い難そうに、ぼそぼそと話し始めたのさ。
どんな話だったと思う?
1.彼女の話
2.勉強の話
3.旧校舎の鏡の話