学校であった怖い話
>六話目(細田友晴)
>Z13

彼は開けなかった。
ドアの方が勝手に開いたのさ。

驚くほど近くにいたのは、おかっぱの女だったんだ。
血に染まったセーラー服を着たね……。
白い仮面の中の目が一瞬光った。
そして、彼を抱きすくめた。
首に強く頭を押しつけられ、彼はたまらずに体を反らせたよ。

自然と天井を見る形になるだろ。
それで、彼には見えたんだ。
天井にやもりのように張りつく、たくさんの女がね。

短い髪のヤツやら、三つ編みのヤツやら、いろんな女が血まみれのセーラー服を着て、白い仮面をつけて張りついているんだ。
ヤツらは彼を見つめていたよ。
悲鳴をあげかけたのどを、素早く女が食いちぎった。
血を吹き上げながら、彼は考えていた。
あの三人を運んでいた黒くて小さ

な生き物はもしかして、例のドクロの染みだったんじゃないか……。
ヤツらはこの女たちに、餌を運んでやっているんじゃないかってね。

これから死んでしまう彼にとって、そんなことはどうでもいいことなのにね。
死ぬ間際なんて、結構くだらないことを考えるものかもしれないね。

……それで、その六人がどうなったかって?
……見つからなかったんだよ。
次の日、彼らを補習に残したまま帰った先生も、あとを頼まれた先生も、問題が大きくなる前に旧校舎を調べたんだ。

けれど、彼らの死体どころか、一滴の血の跡さえも見つからなかったのさ。
そして、その二人の先生はね、彼らをきちんと帰したということで口裏を合わしたのさ。
ひどいもんだよね。

それで、彼らは行方不明になったのさ。
結局、その後六人の姿を見たものは、誰もいない。
ただ、いなくなった六人が学校で補習を受けていたことは、クラスメートたちは知っていた。

そして、その後すぐに姿を消したから、変な噂が流れるようになったんだよね。
旧校舎の三階にある女子トイレから、変な呻き声が聞こえてくるとか、そこで、いなくなった彼らの姿を見たとか、変な噂もいろいろと広まったしね。
それで、あれは花子さんの呪いだという話になったんだ。

花子さんが、六人を連れていったんだとね。
あの六人が、違う世界に迷い込んでしまったのか、それとも本当に花子さんの呪いだったのか、それはわからないことさ。

……これで、旧校舎にまつわる話は終わりだよ。
もっとも、六人が殺されるところなんて誰も見たわけじゃないから、信憑性はとても低いよね。
でも、僕はどうしてもあれが嘘だとは思えないんだ。

……どうだい?
今から、三階の女子トイレに行って、花子さんを呼び出してみようよ。
坂上君。
君は、さっき行くっていったよね。
それとも、僕の話を聞いて気持ちが変わったかな?

どうする?
行くよね?
1.三階の女子トイレに行く
2.やっぱり行かない


◆3番目の選択肢で「2.ない」を選んでいる場合
2.やっぱり行かない


◆一話目〜五話目で細田以外が全員消えている場合
1.三階の女子トイレに行く
2.やっぱり行かない