学校であった怖い話
>七話目(荒井昭二)
>AE6

やっぱり聞かないほうがいいな。
そうだ、ここでそんなことをいったらきっと僕の頭がどうにかなったって思われるに決まっている。
なにもいわないほうがいい。
「本当に、さっきはどうしたかと思ったよ。なにかあったの?」

福沢さんは、まだ心配そうに僕を見ている。
「大丈夫だよ。ちょっと、くらくらしただけだよ。僕は、血圧が低くてたまにこういう状態になるんだ。困ったもんだよ」
僕は、もっともらしいことをいってその場をごまかした。

「もしよかったら、私の肩を貸してさしあげてもよろしいでございますことよ。ほほほ」
福沢さんがそういって笑う。
僕は、彼女の冗談で少し気が紛れた。

「けっこうでございます。お嬢様。さあ、まいりましょう。夜の学校は、何が起こるかわかりませんので……」
僕も、彼女に冗談を飛ばした。
そうだ、早くここから出よう。
夜の学校は、何が起きるかわからない。

そして、僕たちは足早に学校を後にした。
僕はあれから考えた。
やはり、あれは錯覚だったんだ。
僕は、自分を納得させるため、何度もそう自分に言い聞かせた。
あの得体の知れないものは、一瞬しか見ていないのだし。

本当に疲れていたから、いもしないものを見てしまったんだ。
……しかし、それが間違いであることはすぐに思い知らされた。
これが、恐怖の始まりだったのである。

……次の日、僕は日野先輩に呼ばれた。
昨日のことを報告しなければならない。
放課後、部室に行くと日野先輩が待っていた。

「よお、坂上。昨日はご苦労さん。どうだった?」
何について話そうか?
1.昨日聞かされた怖い話のこと
2.七人目が来なかったこと
3.これからの予定のこと