学校であった怖い話
>七話目(岩下・福沢)
>W10

逃げるしかない……。
……ダメだ。
金縛りにあったように体が動かない。
情けないことに、足がすくんでいるようだ。
僕は、なんとかこの場をごまかすしかないと思った。

「風間さん! 誤解だ! それは長官なんかじゃない! そいつこそ、敵のスパイなんだ! そいつはデベロンダッタ星人ですよ!」
「デベロンダッタ星人……?」
風間さんの動きが止まった。
そして、不思議そうな顔をしている。
とっさについた嘘が、うまくいくかもしれない。

僕は、一気にまくし立てた。
「そうですよ! 知らなかったんですか!? 僕たちスンバラリア星人のほかにも、地球侵略を狙っている宇宙人がいたんですよ。その名はデベロンダッタ星人。恐ろしい宇宙人なんです。地球人を皆殺しにしようとしているんですよ」
風間さんがちょっと眉をしかめた。

そして、長官の死体に目を留めた。
「……なんて恐ろしい。我々は地球人を食料にしようとしただけなのに……皆殺しはひどすぎるな」
どっちもどっちじゃないか!
……いや、今はそんなことどうでもいい。

「そうでしょ! 絶対、地球人は食料にしなければ、もったいないですよ! だから、デベロンダッタ星人の野望を打ち砕くべきです!」
僕は必死だった。
生徒会長の立候補演説よりも、僕のほうが何十倍もすばらしかったはずだ。
それぐらいうまくやれたと思う。

風間さんは、あごに手を当て考え込んだ。
そして、僕を見た。
「……証拠は?」
「証拠……ですか?」

「そうだ。証拠を見せてもらおう。この長官がデベロンダッタ星人だという証拠でも、君が本物のスンバラリア星人であるという証拠でもどちらでも構わない。とにかく、君が地球防衛軍のスパイでないという証拠を見せてもらおうか」
……何という展開。
風間さんて馬鹿だと思っていたのに、まさか証拠を求めてくるとは。

どうする?
どうするんだ、坂上修一。
ここが正念場だぞ!
1.スンバラリア星人だという証拠を見せる
2.長官がデベロンダッタ星人であるという証拠を見せる
3.とりあえず踊ってみる