晦−つきこもり
>一話目(鈴木由香里)
>A3
ほらほら、好奇心旺盛なんじゃん。
やっぱ、女の子はこうでなくっちゃね。
閉店後のデパートって、広ーいフロアに誰もいなくて、不思議な気分になれるんだ。
照明も必要な場所しかついてなくて、それ以外の所は真っ暗。
昼間は明るくて、人が大勢いるのにさ。
その時、作業していたのは、私とバイト仲間三人とで、計四人だった。
流通競争の激しい地域だと、ショーウィンドウのデザインなんかで、大きく売り上げが変動するんだって?
だから、『デコレーター』っていう専門のデザイナーが活躍するんだよね。
まあ……、私たちは、しょせん寄せ集めのアルバイトだったし、どちらかというと、デザインセンスよりも体力の方が重要視されてた。
クリスマスのリースや、ツリー、サンタクロースなんかのディスプレイをはずして、正月用のディスプレイを飾っていくだけだったからね。
簡単な作業だからって、けっこう気楽に考えてたんだけど……。
作業を始めて一時間もたたないうちに、不都合が生じたんだ。
展示用のマネキンが足りないの。
私たちは、デパート側からの依頼で来ているっていうのにさ、完全に向こうのミスだよね。
しかたなく、メンバーから二人が、倉庫までマネキンを取りに行かされることになったんだ。
私は、喜んでその役をかってでたさ。
だって、倉庫っていえば、社員でもなければ入り込めない場所じゃん。
そこへ、堂々と入れるんだよ。
行くっきゃないって!
後の問題は、誰と行くかだけど……。
葉子だったら、パートナーに誰を選ぶ?
1.何度か会ったことのある女の子
2.初めて会ったばかりの男の子
3.あまり好きじゃない男の人