晦−つきこもり
>二話目(山崎哲夫)
>A4

ええ!?
なんでわかったんだい?
信じられないよ。
こんな偶然があるなんて。
もしかして、葉子ちゃんには、超尿力だっけ? それがあるんじゃないのか?
そうだ、泰明兄さん。
どうでしょう、葉子ちゃんをテレビに出してみるってのは!

『衝撃! 天才超尿力少女現る!
サイコキネウスで読真実!!』
……哲夫おじさんって、もうむちゃくちゃ。
なによ超尿力少女って。

そんな名前で、テレビに出たら、一生、表を歩けないわ。
……ところで、話の続きだけどな。
風間は、自分らにこういったんだ。

「あの森にはね、狸が住んでいるんだよ。……君たちは、笑っているが、ただの狸じゃないんだよ。
その狸は、何か、得体の知れない力を持っているんだ。だから、この町の人は、絶対にあそこには行かないんだよ。それでも、君たちは、行くというのかい?」

自分らは、迷うことなく、『行く』と答えたよ。

すると、風間という主人は、あきれて出ていった。
『どうなっても知らないよ』って、一言言い残してな。
自分らは、それでも全くその話を信じなかったよ。
もし、そんなものが出るんだったら、捕まえて見せ物にでもしてやるといって、みんなで笑い合っていたんだ。

でもな、実はその時、何か悪い予感がしていたんだよ……。
次の日の朝。
自分たちは、用意がすむと、朝食もとらずに、早速出発した。
その日は、天気がよくて、とても気持ちのいい朝だったよ。
その森までは、歩いて一時間ぐらいかかるところにあったんだ。

そこまでの交通機関がなかったからな。
自分らは、歩いてそこまで行ったんだ。
しばらく行くとな、眼前に暗く不気味な森が広がり始めた。
何だか、じめじめとした暗い雰囲気を持っていてな。

森の上には真っ黒なカラスが、数羽ぐるぐると回っていた……。
自分は、何だか不気味な感じがしたよ。
森の入り口は、青い空とは対照的に、真っ黒な口がぽっかりと開いていた。
みんなも、不気味な雰囲気に気がついたのか、その場で立ち止まって、しばらく眺めていた。

しかし、意を決して、森の中に入っていったんだ。
森の中も、外から見たときの雰囲気と変わらず、不気味な感じがしたよ。
上を見上げると、木の葉が茂っていてな。
森の中は、薄暗くて、とても気味が悪かった。

(確かにここになら、得体の知れない狸が住んでいたとしても、不思議じゃないな……)
自分は、そう思った。

ところで葉子ちゃん、『急がば回れ』ってことわざ、知ってるよな。
葉子ちゃんは、その通りに行動する方かい?
1.その通りに行動するわ
2.そんなの気にしない


◆最初の選択肢で「2.ない」を選んでいる場合
2.そんなの気にしない