晦−つきこもり
>二話目(藤村正美)
>H5

そう思うんですのね。
……ええ、吉村先生も、同じ結論にたどり着いたのですわ。
これは、生きているものの足音ではない。
怖くなった先生は、逃げる場所を探しました。
逃げる場所といっても、病院の中には、ほとんど隠れ場所なんてありませんわ。

それでも選ばなければならないとしたら……。
先生は悩んだ末、一番近くにあったドアを開けたんですわ。
そこは、使っていない病室でした。
きれいに整頓されたベッドが、二つ並んでいました。

窓には、壁と同じ色のカーテンが掛かって、一見、四方が壁に囲まれているように見えました。
この部屋に逃げ込んでも、危険が去ったわけではありませんわね。
まあ、悲観的な考え方をすれば、キリがないんですが。

葉子ちゃんは、悲観的な方かしら?
1.悲観的
2.楽観的
3.そのときどきで違う