晦−つきこもり
>五話目(前田和子)
>I15

「和子おばさんの肌っていいですよね。餅肌っていうんでしょうか。
すべすべしてて、つやめいてて。
風間さんは、和子おばさんが素敵だから、一緒にいて楽しいっていってました。

それから、ハンバーグがお好きなようです。どうしてでしょうか。
ハンバーグって、独特の肉臭がありますよね。それから肉汁。あれって、焼く時にソースとからめるとおいしいんですよね。それがいいんでしょうか」

しまった!
まったりと伝えてみたのはいいけれど、これでは何をいってるのかわからないんじゃないかしら。
「そう……、風間さんは、そういっていたんだ? 私といると、楽しいって? それから、ハンバーグが好きなの? ふふ、趣味いいわね」

……和子おばさん?
ちょっと、なんだか変。
風間さんのことを、そうとう気に入っているみたい。
彼の話題なら、なんでも楽しいのかしら。
「じゃあ、葉子ちゃん、一番大事なことを聞くわよ。
風間さんは、私のことを好きなのかしら?」

和子おばさん、モジモジしてる。
そんな姿を見ていると、なんだかかわいいな、なんて思ってしまう。
これは、私の感情?
それとも、私の中にいる風間さんの気持ち?

(……ああ、和子。かわいいよ。
わたしは、そんな君が大好きさ。
そうだ、こんどデートしようか?
場所は……そう、海がいい。なんでかって?

決まっているじゃないか。海は、男のロマンだからさ。わかったかい?)
「葉子ちゃん、風間さんは何ていってるの?」
和子おばさん、不安そうな表情をしてる。
へたなことはいえないわ。

風間さんは、和子おばさんのことが好きかどうか。
これが最後の質問ね。
生霊って、あまり長く体を離れていると、生命にかかわるって聞いたことがあるし。

風間さんの健康の為にも、降霊は早めに切りあげた方がいいのかもしれない。
さあ、和子おばさんに何ていおう?
1.他の質問もしよう
2.風間さんは和子おばさんが大好き
3.海は男のロマンだ
4.風間さんは私のものよ