晦−つきこもり
>六話目(鈴木由香里)
>J11

えっ!?
彼らが宇宙人だっていうの?
……そうかぁ、葉子もそう思うんだ。
実は…………そうなんだよね。
風間家の人たちって、地球に花嫁を捜しに来た宇宙人だったんだよ。
確か、スンダラリン…………。
……じゃないや。

スン……、スンバラリンだったかな?
とにかく遥か彼方の大宇宙からやって来た、宇宙人だったのよ。
その母星っていうのがさぁ……。
とても高度な文明を持っているようなんだけどね。

宇宙への侵略を始めた頃から、人口が減少する一方なんだって。
それで、このままじゃ星の存続自体が危ないってことになって、他の星から花嫁を迎えようって計画が実行されたんだってさ。
今回の、『風間家の人たち』みたいに……。

でもさぁ、けっきょくこのカップルは披露宴の後、即離婚。
……っていうか。
風間家の人たちが、こぞって姿を消してしまったのさ。
まぁ、あんな騒動を起こしちゃったからね。

それに……、ハネムーンが宇宙旅行ってばかりか、新居が何万光年も離れた星じゃあ、あの気の小さそうな新婦には、ついて行けない世界だと思うもん。
せっかく見つけた花嫁だったけど、どっちにしても離婚は確実だったんじゃん?

で、後日聞いたんだけどさぁ、この披露宴のあったホテルって、この時はまだ営業していなかったんだって。
それどころか、未だに完成してないんだよ。
ほら、大手企業が社会経済の不安定から……とか何とかいって、こぞってウォーターフロントの開発から撤退したじゃん。

そのあおりを受けて、このホテルも造りかけのまま放り出されてるんだってさ。
鉄骨むき出しの外観からか、『幽霊ビル』って呼ばれてるよ。
……でもね。
私、見ちゃったんだ。
あの日、ホテルのてっぺんが切り離されたかと思うと、空へ飛んでいったのを……。

ホテルの最上階にあった『イボガエルの間』っていうのは、そのまま宇宙船……UFOの内部だったのよ。
私たちの前から去っていったあのUFOは、今頃どこを飛んでいるのかなぁ?
きっと、今でも花嫁を捜してるんだろうね。

どう、葉子?あんたも、立候補してみたら?
1.それもいいな……
2.嫌よ!


◆一話目〜五話目が風間の話だった場合
2.嫌よ!