学校であった怖い話
>三話目(岩下明美)
>L8

破いた……ですって。
よくもそんな乱暴なことをいえるわね。
あなた、本当に絵が好きなの?
それとも、適当に調子を合わせていただけ?
私に嘘をついたの?
私、嘘つきは嫌いよ!

…………ううん、違うわよねえ。
坂上君は、そんないい加減な人じゃない。
私にはわかるわ。
ちょっと冗談をいってみただけなんでしょ。

わかってるわ。
でもね、私は嘘をつかれるのと同じくらい、悪趣味な冗談も嫌いなの。
坂上君だから許すけど、もうやらないでね。
……そうそう、絵をどうしたかって話だったわね。

結局、お坊さんを呼んで供養することになったわ。
……でも、だめだった。
彼女の霊の執着心のほうが強かったのかしら。
どんなに供養しても、あの絵は美術室に舞い戻ってくるのよ。

それで、もうどうすることもできなくなって、放っておくことになったわ。
別に、害があるというわけではないしね。
とりあえず、彼女が絵を仕上げることで満足をするのならば、それを温かく見守ろうということになったの。

絵は、毎日少しずつ仕上がっていったわ。
ほとんど、見分けがつかない程度で。
そして、絵は完成した。
美しい、清水さんの自画像が出来上がったの。
そして、絵が完成すると同時に、今度は美術室から消えてなくなったのよ。

なくなったらなくなったで、気味の悪いものよね。
あれほど怖がっていたくせに、今度は絵を捜し始めたの。
絵は、どこにあったと思う?
1.彼女の家
2.部室
3.彼女のお墓
4.見当もつかない