学校であった怖い話
>七話目(荒井昭二)
>A6

もし、福沢さんもあれを見ていたらあれは幻覚じゃない。
本当に、誰かがいたことになる。
僕は、思い切って話を切り出した。
「福沢さん。今さ、廊下の向こうのほうに誰かいなかった?」

福沢さんは、一瞬目を大きく開いたあと、今度は目を細めて僕を疑わしそうに見た。
彼女は何も見ていない。
僕は、すぐに言い直した。
「いや、僕は別に何も見てないんだけどさ。
あれだけ怖い話をしただろ? だから、何だか疲れちゃって……」

「本当に大丈夫?」
福沢さんは、僕をモルモットを見るような目で見ている。
これ以上、この話にはふれないほうがよさそうだ。
「帰ろうよ。こんなところ先生に見つかったら、どんなに怒られるかわからないよ」
「そうね。早く行こ」

僕たちは、何かから逃げるようにして、学校をあとにした。
やはり、あれは錯覚だったんだ。
僕は、自分を納得させるため、何度もそう自分に言い聞かせた。
あの得体の知れないものは、一瞬しか見ていないのだし。

本当に疲れていたから、いもしないものを見てしまったんだ。
……しかし、それが間違いであることはすぐに思い知らされた。
これが、恐怖の始まりだったのである。

……次の日、僕は日野先輩に呼ばれた。
昨日のことを報告しなければならない。
放課後、部室に行くと日野先輩が待っていた。

「よお、坂上。昨日はご苦労さん。どうだった?」
何について話そうか?
1.昨日聞かされた怖い話のこと
2.七人目が来なかったこと
3.これからの予定のこと

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