学校であった怖い話
>七話目(細田友晴)
>BM5

「わかりましたよ。聞きましょう」
僕はうなづいてみせた。
「さすが、坂上君」
細田さんは嬉しそうだ。
「そうか、聞きたいか……それなら、話してあげようかな」
そういった黒木先生の目が、一瞬暗く光ったように見えた。

でも、それを確認する前に、先生はくるりと背中を向けた。
「よし。じゃあ、先生についてこい」
頼りになるのは、懐中電灯のぼんやりとした明かり一つだけ。
先生は、先頭になって足元を照らしながら歩き始めた。
そして、ゆっくりと歩きながら、ぽつりぽつりと話し始めた。
「……君たちは、戦時中のことを知

っているか?」
「いえ、知りません」

「戦時中はこの辺も大変でな。もっとも、先生もまだそのころは生まれていなかったから、詳しいことは知らないよ。でもな、先生はこの学校の出身でね。先生がここの学生だったころは、まだ旧校舎で授業を行っていたんだ。
その時、みんなの間で噂になった話なんだけどな。……ここだよ」

そういうと、先生は、ふと足を止めた。
そして、何やら壁に向かって懐中電灯を照らしている。
「……やっぱり昔のままだ」
懐中電灯を壁の一点で止め、先生は懐かしそうに壁をさすり始めた。

「ここの壁の色だけ、ほかと色が違うの、わかるか?」
そういうと、先生は懐中電灯を少し振って見せた。
そういわれると、確かに少しだけ壁の色が違うように思える。
そして、先生はゆっくりと話し始めた。

……この旧校舎って、昔、戦時中に一回壊れたの知らないだろう?
もう、あれから五十年も経つんだからな。
先生がまだここに通っていたころは、もう少し、ましだったんだけどな。
今は、こいつも取り壊されることになっちまった。

実はな、この壁の向こうにはあるものがあるんだよ。
それを、あとから埋めたのさ。
何があったと思う?
1.教室
2.階段
3.トイレ
4.死体置き場
5.倉庫