晦−つきこもり
>六話目(真田泰明)
>2T3

そこは食堂だった。
大きな長テーブルの左右に、四脚の椅子が置かれている。
そして右の壁には暖炉、左の壁には大きな時計がある。
河口君達は早速、物色を始めた。

「見事な掛け時計だな………」
無口な花田さんが掛け時計の前で、声を出してそれを見ている。
確かに立派なものだ。
(あ、あれ、何で動いているのだろう………)
俺は不思議に思った。
掛け時計は分銅の重りで動くタイプのものだ。

そんなに長い間動き続けるものではない。
吉川の悲鳴だ。
悲鳴の方向を見ると、吉川が走り回っている。
「止めてください! 止めてくださいよ!」
河口君が壁に掛けてあったお面のような物をつけて、追いかけ回していた。

「おい、河口君。吉川をからかうのはいいが、そのお面は壊すなよ、ははっ」
そういって、俺は河口君を制止した。
価値はわからないが、この屋敷には高価そうなものが無造作に置かれている。

(しかし、百年以上も人が住んでいなかったとは、思えないな………)
俺は部屋を見渡した。
高価そうな装飾品、そして、不気味に動く掛け時計がある。
何かそれらは、怪しい力に守られているような気がした。

(でも本当に高価なものなら、百年もほっとかれないだろう………)
百年もの間、価値のあるものをほっとくような善人が居るはずがない。
そう思い、嫌な予感を俺は否定した。
突然、部屋に明かりが差し込んだ。

俺は徐々に視界を取り戻す。
そしてその光が差し込んでくる方を見た。
窓のカーテンが開け放たれている。
そして、その光の中に人影があった。

「すいません。月明かりがこんなに眩しいとは、思いませんでしたよ………」
その光の中の人影は河口君だった。
俺は徐々にその明るさになれ、河口君の姿を確認することができた。

吉川はいじめられたにも関わらず、金魚の糞のように引っ付いている。
部屋を見渡すと、花田さんも窓の方を見ている。
彼は、まだ時計を見ていたらしい。

花田さんは明るさになれ、落ち着きを取り戻したようだ。
1.暖炉を見る
2.お面を見る
3.掛け時計を見る
4.窓から庭を見る