学校であった怖い話
>七話目(新堂誠)
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助かったことがわかると、急に怖さが増してきた。
ここは、真夜中の旧校舎なのだ。
こんなところで、朝まで待つことなど、とても恐ろしくてできない。
僕は、投げ出された懐中電灯を拾いあげ、立ち上がった。
そして、なにげなしに折れた窓枠に目を留めた。

腐ってぼろぼろになった木。
でも、少しはしっかりしてそうだ。
僕に、一つの考えが浮かんだ。
……使えるかもしれない。
僕は、折れた窓枠を手に取った。
それこそ、まさに神の警告だったのかもしれない。

……目まいがする。
どっと疲れが押し寄せた。
それにしても、よくあれだけ動いたものだ。
僕は、自分の体力に敬服した。
よろめきながらも、棒になった足をゆっくりと交互に前へ出す。

階段を下りる作業が、とてもつらい。
一段下りるごとに、足を踏み外しそうになる。
足に、まったく力が入らない。

何とか一階まで下りたころには、そろそろ空が白み始める時間になっていた。
「……帰ろう。……家に帰ろう」
僕は、自分を元気づけるため、何度もそう呟いた。

目の前に、校門が見える。
……そして。
校門の前に奴は立っていた。
腕を組み、僕が来るのを待ち構えていたようだ。

「……日野」
「ずいぶんとやってくれるじゃないか、坂上。
おれは、この人間狩りの遊びを何回もやってきたが、こんなことは初めてだ。どうだ? 俺と一緒に殺人クラブをやらないか?」
日野は、さわやかな顔で笑った。

「……………………馬鹿いうな。死んでもお断わりだね」
「……そうか、残念だ。お前なら、いい相棒になると思ったんだけどな。
裏切った連中は全員始末した。風間も新堂も、細田もだ。もう誰もいない。そして、俺ももうすぐ卒業だ。
お前なら、俺のあとを継いで、いい部長になれると思ったんだがな。どうだ? 考え直さないか」

「やだね」
「強情っぱりだなあ。まあ、仕方ない。それじゃあ、あきらめよう。殺人クラブは俺の代で終わりだ」
僕は、話しながら、一歩ずつ日野の待つ校門へ近づいていった。

「日野。一つ聞きたい」
「何だ?」
「殺人クラブなんて、何のためにある?」

「よくぞ、聞いてくれた。人間はな、ストレスというものがたまる。だけど、エリートはストレスがたまってはいけないんだ。そのためには、どうする? そう。ストレスになりそうな存在を排除する。

腹の立つ人間は、一人残らず殺してしまうのさ。そうすれば、ストレスもたまらないし、自然とストレスも解消できる。楽しいぞ。こんな素晴らしい方法、ほかにあるか?」

「お前は、頭が変だよ」
「……ありがとう。ほめ言葉として受け取っておくよ。凡人に、天才の考えることは、いつの世の中でも理解されないものさ。そろそろ、終わりにしようぜ」
日野は、ナイフを取り出した。

僕には、よける力も残っていないだろう。
僕は、黙ってポケットの中に手を突っ込んだ。
ポケットの中には……。
「あはは……、歩くのもやっとじゃないか。

それに引き換え、俺はピンピンしている。勝負はするまでもないな。さあ、死んでくれ。
そして、六人の落ちこぼれと、一人の先生を殺した犯人になってくれ!」
そして日野は、ナイフを振り回しながら突っ込んできた。

僕に残された道は一つだけ……。
どうする?

◆ドライバーを持っていない場合
1.わざと倒れる
2.日野のナイフにあえて刺される
3.謝る
4.殺人クラブに入るという


◆ドライバーを持っている場合
1.わざと倒れる
2.日野のナイフにあえて刺される
3.ポケットの中のドライバーを取り出す
4.謝る
5.殺人クラブに入るという