イーハトーヴォ物語
イーハトーヴォ 第一章 貝の火 第二章 カイロ団長 第三章 虔十公園林 第四章 土神と狐 第五章 グスコーブドリの伝記 第六章 オツベルと象 第七章 セロ弾きのゴーシュ 第八章 雪渡り 最終章 銀河鉄道の夜
第一章 貝の火
第二章 カイロ団長
第三章 虔十公園林
第四章 土神と狐
第五章 グスコーブドリの伝記
第六章 オツベルと象
第七章 セロ弾きのゴーシュ
第八章 雪渡り
最終章 銀河鉄道の夜
登場人物 7冊の手帳 アイテム 情報

【第五章 グスコーブドリの伝記】
●イーハトーヴォ市街地

男
「ちかごろ、さむくないかい?

男
「こんなキコウじゃあ、
サクモツなんかそだちやしない。
うーん・・・・・
ことしの冬にそなえて、
しょくりょうをおおめに
かいだめしておこうかな。

女
「きょうは、
まるで秋のようなすずしさですね。

少年
「ことしはすずしくて、
河でおよげないんだーい!

男
「夏だというのに、
きょうはすずしいね。

少女
「みんなが、
しんぱいそうなかおしてるの。
どうしたのかな?

少年
「ぼくは、
いつもひとりぼっちだったけど、
そうわるいコトばかりでもなかったよ。

犬
「ワンワン、わるいこともあれば
いいこともあります。

●イーハトーヴォ駅前

シグナル
シグナル
「シグナレスさんは、
ぼくが話しかけると
どうしてだまってしまうのだろう?
ぼくはこのごろふしあわせだ・・・

シグナル
シグナレス
「シグナルさんとならんでも
はずかしくないように
もっときれいになりたいわ。

●イーハトーヴォ市街地

男
「きょねん、サクモツがそだたなくて
農民たちがこまっていたとき、
火山局のグスコーブドリが
ヒコウセンをつかって、
イーハトーヴォじゅうに
ヒリョウの雨をふらせたんだ。

詩人
「ことしの夏はみじかいんだってね。
ああ、かいすいよくにもいけないな。

女
「象の森には、
黒い象や白い象がいるそうです。
きっと、おおきくて、
こわいんでしょうね!

女
「ネコのじむしょは、
しょいんケンシュウとかで
きょうはおやすみなんですよ。

男
「クーボー博士はいま、
なにやらくうきをあたためる
けんきゅうをしているそうです。

女
「火山局のグスコーブドリは、
むかしクーボー博士の
せいとだったんですよ。

女
「農家の人たちはみんな、
このキコウをしんぱいしています。
ほんとうにこのままでは・・・

女
「カイロ団長が
またおみせをひらくんですって。

男
「カイロ団長は、
がいこくでとてもおいしい
カクテルつくりをマスターしたらしい。

男
「かつどうしゃしん館ではひきつづき、
チャプリンえいがをやってるよ。

少女
「カルボナード島にいって、
モクモクけむりをあげる、
火山がみたいな。

犬
「さむさのあまり、
みんなオロオロしています。

●ケンジントンホテル

ホテル支配人
ホテルしはいにん
「ケンジントンホテルでは、
心のこもったサービスをモットーに、
おきゃくさまをおもてなしして
おります。
ウオッホホホン!

女
「夏とはおもえないさむさのせいで、
街の人たちはげんきがありません。

●イーハトーヴォ市役所

レオーノキュースト
レオーノキュースト
「夏というのに
さむいキコウのせいで、
サクモツがおもうように
そだたないようです。

●イーハトーヴォ農学校

生徒
「先生は、けんきゅうしつにいますよ。

生徒
「このままじゃ、
冬にたべるものが
なくなるって話です。

生徒
「イジョウキショウってなに?

生徒
「すずしいキコウが、
こんなにシンコクな
もんだいになるとは、
おもいもしませんでした。

●活動写真館

モギリ
「チャプリンのきげきは、
こんしゅういっぱい
じょうえいするよ。

観客
「このえいがは、
なんかいみてもオモシロイなあ。

観客
「はっはっはっはっはっ。

観客
「えいがをみてるときが
いちばんしあわせ。

観客
「きげきは、もうあきたわ。

観客
「ガッハッハッハッハ。

観客
「あなたがジャマで、
えいががみえません。

観客
「ふふふふふ。

劇場支配人
げきじょうしはいにん
「イーハトーヴォにすんでいる
みんなのために、
おもしろいえいがを
どんどんじょうえいしよう。

マネージャー
マネージャー
「じかいはレンアイものを、
じょうえいしますでございますよ。

●らすちじん協会

ファゼーロ
ファゼーロ
「賢治先生から手紙がきました。
先生は、あちこちかけずりまわって、
農家の人たちをはげましてるそうです。

作男
「3さつめの手帳が
みつかったんだって?
よかっただ。
しかしこのさむさにも
こまったもんだ・・・

作男
「火山局のグスコーブドリさんが、
このさむさをなんとかするための
方法をかんがえているらしいだ。

ファゼーロ
ファゼーロ
先生はちかいうちに、
イーハトーヴォ火山局の
グスコーブドリさんに
会いにいくそうです。
火山局ですか?火山局なら、
土神の森の北にありますよ。

私
手帳にかんするじょうほうは
これといってなかったが、
私はとりあえず火山局のある村へ
いくことにした。


●イーハトーヴォ火山局

男
「火山局なら村の北にあります。

男
「イーハトーヴォ農学校の
クーボー博士は、
火山局にカオがきくらしい。

男
「火山局のグスコーブドリには、
妹がいるんだよ。

女
「夏だというのに
こんなにすずしいのは、
15年ぶりだそうです。

女
「この夏のさむさは、
さくもつにおおきなヒガイを
あたえるでしょう。

女
「火山局の局長は、
グスコーブドリという
わかものです。

少女
「あたし、おおきくなったら、
ブドリのおよめさんになるの。

少女
「火山局に、
おきゃくさんがきてるんだって。

女
「グスコーブドリは、
まじめでやさしいせいねんです。

女
「しゅじんはみなとで、
フネのていれをしています。

少年
「火山局におきゃくさんが
きてるんだよ。
その人って詩人なんだって。

作男
「オレはふなのりだ。
カルボナード島にわたるなら、
ちからになるぜ。

ネリ
「私はネリ、火山局にいる
グスコーブドリの妹です。

守衛
「ここは火山局です。
いっぱんの方は、はいれません。

女
「グスコーブドリに会いたければ、
クーボー先生にしょうかいじょうを
かいてもらうといいですよ。


●イーハトーヴォ市役所

レオーノキュースト
レオーノキュースト
「グスコーブドリのことがしりたい?
はい、少々おまちを・・・
火山局にいるグスコーブドリは、
かってイーハトーヴォ農学校で
クーボー博士に会い、
そのしょうかいで火山局に
つとめることになりました。
さいきんでは宮沢賢治さんの
えいきょうをうけ、
イーハトーヴォ農民のために
このさむさをなんとかしようと、
まい日、ジッケンとケンキュウを
くりかえしているようです。

●イーハトーヴォ農学校

生徒
「クーボー先生は
けんきゅうしつで
なにやらジッケンを
おこなっています。

生徒
「このままじゃ、
冬にたべるものが
なくなるって話です。

生徒
「イジョウキショウってなに?

生徒
「すずしいキコウが、
こんなにシンコクな
もんだいになるとは、
おもいもしませんでした。

クーボー博士
クーボー博士
「このさむい夏を、
なんとかせねばならん。
それにはくうきちゅうの
たんさんガスをふやして、
きおんをあげるのが
てっとりばやいんだ。
しかしそうするには・・・
ううむ・・・
ん?ところできみ、
私になにかようかね?

クーボー博士
クーボー博士
「なに?グスコーブドリにあいたい?
いったいブドリに、
なんのようがあるのかね?
賢治さんに会いたいから?
賢治さん?
らすちじん協会の賢治さんか!
かれのことは、
ブドリからよくきかされている。
賢治さんという人は、
しんがたのヒリョウをつくったり、
あたらしいさいばい方法をためしたり、
イーハトーヴォ農民の
しどうしゃとして
かつやくしているらしい。
さいきんはブドリも、
賢治さんときょうどうでケンキュウを
すすめているときいていたが・・・
そうか、賢治さんはいま、
火山局にいるのか。
・・・しかし、
あそこのシュエイはうるさいからなあ。
よし、私がしょうかいじょうを
かくからもっていきたまえ。
きっとすぐに会えるだろう。

私
<クーボー博士のしょうかいじょうを
            手にいれた>

クーボー博士
クーボー博士
「ブドリによろしくな。


●イーハトーヴォ火山局

私
<クーボー博士のしょうかいじょうを
            手わたした>

守衛
「クーボー博士の
おしりあいのかたですね。
どうぞ、おはいりください。
「いらっしゃいませ。

グスコーブドリ
グスコーブドリ
「クーボー先生のしょうかいで?
それはようこそいらっしゃいました。
ごようけんはなんでしょう?

グスコーブドリ
グスコーブドリ
「賢治さんがここにいると
きいてきた?
賢治さんならけさ、
らすちじん協会へもどられました。

グスコーブドリ
グスコーブドリ
「このままさむい夏をむかえれば、
冬にはおそろしい
しょくりょうぶそくがまっています。
そんなことになれば、
15ねんまえのように、
たくさんのひとがしに、
たくさんのみなしごが、
イーハトーヴォじゅうに
あふれるでしょう。
それだけはなんとしても
さけたいのです。

ネリ
ネリ
「私はグスコーブドリの妹、ネリです。
兄はいま火山局にいます。

ネリ
ネリ
「賢治さんを、
さがしてらっしゃるんですか。
賢治さんなら、
らすちじん協会へもどられました。

ネリ
ネリ
「またあそびにきてくださいね。


●イーハトーヴォ市役所

レオーノキュースト
レオーノキュースト
「このさむさで、
農民たちも街の人々も、
冬のしょくりょうのしんぱいを
しているようです。

●らすちじん協会

ファゼーロ
ファゼーロ
「けさ、賢治先生が
ここにたちよって、
私たちをはげましてくれました。
いまごろは、どこかの村に
むかっているはずです。

ファゼーロ
ファゼーロ
「先生はあちこち村をまわって、
農家の人をはげましているんです。

作男
「先生から、
あんたあての手紙を
あずかっただ。
ほれ、よんでくれ。

私
私は、手紙をみせてもらった。

とつぜんのお手紙
おゆるしください。
私は宮沢賢治ともうします。
私の手帳を、
3さつもあつめていただいたそうで、
ありがとうございます。
手帳はそのまま、
あなたがもっていてください。
もし手帳が7つそろいましたら、
らすちじん協会にいらしてください。
そのせつよろしくおねがい
もうしあげます。
<ついしん>
イーハトーヴォの人たちのために
がんばっている、グスコーブドリの
ちからになってあげてください。

作男
「賢治先生ひとりに
やらせとくワケにはいかねえ。
オレらもがんばらねばな。

作男
「賢治先生がおれたちを
はげましてくれただ。
これからもっとがんばるだ。


●イーハトーヴォ火山局

男
「火山局に、
クーボー博士がきているそうです。

男
「グスコーブドリは
このさむさをなんとかしようと、
まいにち火山局に
とじこもりっきりらしい。

男
「はやくあたたかくならないかな。

女
「ブドリとネリは、
15ねんまえのききんで
りょうしんをなくしました。

少女
「あたしのおじいちゃんも、
15ねんまえのききんで
しんじゃったんだって。

女
「このままじゃ、さくもつが
そだちません。

女
「しゅじんはみなとで、
フネのていれをしています。

少年
「ぼくのおとうさんは、
イーハトーヴォいちのふなのりさ。
ぼくもおおきくなったら、
ふなのりになるんだ。

ネリ
ネリ
「火山局にクーボー博士が
いらしてます。
兄と2人でなにやら
話しあっているようです。

●イーハトーヴォ火山局

グスコーブドリ
グスコーブドリ
「・・・・・

クーボー博士
クーボー博士
「じつはいまイーハトーヴォを
いかにあたためるかについて、
2人でけんとうしていたのだ。

グスコーブドリ
グスコーブドリ
「クーボー先生のかんがえでは、
くうきちゅうの
たんさんガスをふやせば、
きおんはあがるらしいんです。

クーボー博士
クーボー博士
「そう、そこまではいいのだ。
しかしじっさいにどうやって
たんさんガスをふやすか・・・
それがもんだいなのだ。

グスコーブドリ
グスコーブドリ
「クーボー先生、じつは、
いぜんからかんがえていた
のですが・・・
カルボナード島の火山を
じんこうてきにばくはつさせて、
たんさんガスをふきださせると
うまくいくのではないでしょうか?

クーボー博士
クーボー博士
「うむ、それはわたしもかんがえた。
だが、それにはだれか1人が
火口にのこらねばならない。
とてもきけんだ。
いや、火口にのこったばあい
もしにげおくれれば、
ようがんりゅうにのみこまれてしまう。

グスコーブドリ
グスコーブドリ
「しかし、いそいでにげれば、
たすからないというわけでは
ないでしょう。
やってみるべきだとおもいます。
そしてそれは、
火山局ではたらいている
私のやるべきことでもあります。
なんといってもこのままでは、
15ねんまえのようにたくさんの人が、
ききんでしんでしまうでしょう。
おやにしなれたこどもが
どうなるか・・・
もう私やネリのようなおもいを、
だれにもしてほしくないんです。

クーボー博士
クーボー博士
「ブドリは15ねんまえのききんで
りょうしんをなくしたのだったな。
・・・・・わかった。
おまえのいうとおりにしよう。
とりあえずいちばんあんぜんな
方法をかんがえてみよう。

私
カルボナード島へは、
私もじょしゅとして
どうこうすることになった。


●ケンジントンホテル

私
そしてしゅっぱつの日・・・
私はまちあわせばしょである
ネリの家へむかった。

●イーハトーヴォ市役所

レオーノキュースト
レオーノキュースト
「火山局のグスコーブドリは、
クーボー博士とカルボナード島へいき、
なにやらジッケンをおこなうそうです。

●らすちじん協会

ファゼーロ
ファゼーロ
「賢治先生から手紙がきました。
先生はほうぼうの村をまわって、
農家の人たちを
はげましつづけているそうです。

作男
「オラもまいにち、がんばってるだ。

作男
「オラたちはせいいっぱいやっただ。
あとはオテントウサマしだいだ。


●イーハトーヴォ火山局

男
「こうすずしいと、
いよいよいけません。

男
「あんたもいっしょに、
カルボナードとうにいくんだって?

女
「カルボナード島にいかれるんですか?
きをつけていってらっしゃい。

少女
「ふなのりさんが、
ふなでのじゅんびをしていたわよ。

女
「しゅじんはみなとで、
ふなでのじゅんびをしています。

少年
「とうさんはきょうカルボナード島へ
いくんだよ。

作男
「きょうはふなで日よりだ。
カルボナード島がよくみえるぜ。

ネリ
ネリ
「兄とクーボー博士は、
さきにふねのなかでまっています。
さあ、いきましょう。

ネリ
ネリ
「いってらっしゃい。おきをつけて。
兄をよろしくおねがいします。

作男
「さて、しゅっぱつするか。

私
ネリにみおくられて、
私たちはカルボナード島へとむかった。


●カルボナード島

私
カルボナード島についた私たちは、
火口へとむかった。

作男
「オレはここでまってるよ。

クーボー博士
クーボー博士
「ぶじにカルボナード島へ
ついたものの、
火口をばくはつさせるのは
おもったいじょうにむずかしいぞ。

グスコーブドリ
グスコーブドリ
「うーむ・・・火口をこわすには、
やはりだれかがここにのこらなければ
ならないようです・・・

クーボー博士
クーボー博士
「うーむ・・・

グスコーブドリ
グスコーブドリ
「クーボー先生、
いったんここをひきあげてください。
きばくそうちのスイッチは、
私がおします。

クーボー博士
クーボー博士
「しかし・・・

グスコーブドリ
グスコーブドリ
「だいじょうぶですよ。
それに、だれかがやらねばならない
ことなんです。

クーボー博士
クーボー博士
「それじゃあ、私がやろう。

グスコーブドリ
グスコーブドリ
「だめです。
ここはあしばがわるくキケンです。
どうか私にまかせてください。

クーボー博士
クーボー博士
「・・・わかった。
おまえのいうとおりにしよう。
そのかわり、
くれぐれもきをつけてやるんだぞ。

私
私たちはブドリにすべてをまかせ、
いったん島をはなれることにした。

クーボー博士
クーボー博士
「きをつけてな。

グスコーブドリ
グスコーブドリ
「はい、まかせておいてください。

グスコーブドリ
グスコーブドリ
「あとは私ひとりで、
だいじょうぶです。
あなたもはやくひなんしてください。

グスコーブドリ
グスコーブドリ
「しんぱいしないで、
さきにいっててください。

クーボー博士
クーボー博士
「私らは、まつしかないな。

作男
「それじゃあ、
いったんかえりますか。

私
私たちは村にもどって、
ばくはのじかんをまつことにした。
火口にケムリがあがったら、
すぐにブドリをむかえにいくのだ。


●イーハトーヴォ火山局

ネリ
ネリ
「博士、兄さんは?

クーボー博士
クーボー博士
「ブドリは、
カルボナード島にのこった。

ネリ
ネリ
「えっ!?

クーボー博士
クーボー博士
「だれかがスイッチをおさなければ
ならないんだ。
だが、しんぱいしなくていいぞ。
ばくやくはすくなめにセットしてある。
火口のばくはには
しっぱいするかもしれんが、
ブドリのいのちにはかえられん。

クーボー博士
クーボー博士
「そろそろばくはつのじかんだ。

クーボー博士
クーボー博士
「・・・ばくはつがおおきすぎるぞ!
まさかブドリ・・・
私らが島をはなれたあとで、
ばくやくをふやしたのか!?

ネリ
ネリ
「カルボナード島が・・・

クーボー博士
クーボー博士
「だめだ・・・
あのばくはつにまきこまれては、
とてもたすかりはすまい・・
ききんからみんなをすくうためには、
かくじつに火口をばくはせねば
ならなかった・・・
ブドリは、
じぶんのいのちをかけて
ニンムをすいこうしたのだ。

ネリ
ネリ
「ああ、兄さん・・・

私
カルボナード島がふんかし、
たんさんガスをふくんだくうきが
イーハトーヴォじゅうにひろがった。
グスコーブドリは、
じぶんのいのちとひきかえに、
イーハトーヴォの人々をすくったのだ。


●ケンジントンホテル

私
それからすうじつご・・・
ネリが私をたずねてきた。

ネリ
ネリ
「兄のいひんをせいりしていたら、
こんな物がでてきたんです。

私
それはいっさつの手帳だった。

ネリ
ネリ
「この手帳はあなたにさしあげます。
いろいろありがとうございました。

私
<手帳をうけとった>
なんとそれは賢治さんの手帳だった。
<おんたいてんきねん手帳を
          手にいれた>

私
カルボナード島がばくはつし、
きおんは日ましに
じょうしょうしていった。
イーハトーヴォの街や村も
しずけさをとりもどし、
人々はへいおんな日々をとりもどした。
そのとしの秋、イーハトーヴォは
れいねんいじょうのほうさくに
めぐまれたという。